まるっと落ちた

「恋」とは呼べないけど、「あなた」に

I/OのMV集から、JUMPの10年を垣間見る

Hey! Say! JUMPのベストアルバムI/O(インプット・アウトプット)の初回限定盤1には、最新作Precious Girlを除く全シングルのMVが収録されている

私は、ファンになってたかだか一年半のド新規だ。歴史的な知識や思い出はどうしても少ない
ほぼほぼ全曲をウォークマンに入れてはいるものの、メイキングDVD付のCDは割高になっているものが多く、全てをそろえることは早々に諦めた
ゆえに彼らが撮影の裏でどんな表情を見せ、どんな話をしていたかを残念ながら知らない
だが、だからこそ
なんの予備知識もない状態で見た彼らのMV集の表情・演出・ダンスを見て、今の彼らが余計愛おしくなった
この10年を個人的な印象を元に分けると以下の4つになる

①黎明期~1×10人の集まり

記念すべき彼らのデビュー曲【Ultra Music Power】は、バラバラな位置でJUMPするところから始まる
こちらを見るでもなく、かと言ってメンバーの誰とも目を合わせることなく踊る彼ら
「孤独な戦士」を表現するためなのか、近未来的な乗り物は一人乗り。ラストは10人全員が目線を外したまま扉が閉まる
笑顔の10人ショットはほんのわずかで、あとはみんな真剣なまなざしで歌っている
あれ、東の空に明日をつかまえに行くんだよね?明けゆく空って、明るい未来を想像して良いんだよね?ちょいと暗すぎない?
知念くんのチワワ感に猛烈な庇護欲を覚えつつも、1つのグループというより単に人が10人集まった感の強い映像に驚いた
そうか、始まりはこんな感じだったのかと

【Dreams come true】では、10人それぞれがフラフープしたりおもちゃの銃を撃ったりと思いおもいに遊ぶのだけれど、これもひとりで完結していて他メンバーとの絡みはないし、衣装のテイストもバラバラ
伊野尾くんはかちっとしているし、大ちゃんはヤンチャだし、髙木くんはヤンキー感が否めない。笑
(これのおおよそ10年後のFunky Timeの方が同じような衣装で全員でジャれて遊んでるって逆にどういう奇跡だ…)
このドリカムで裕翔くんと山田くんでセンターが交代になったという話は有名*1だが、いざMVを見ると山田くんがUMPより前に出てるな、と思う程度
裕翔くんが中央に立つシーンが全くない訳ではないし、もちろん襟足が長くて可愛い
そういう意味で、「誰を推していくか」がはっきり映像に現れているのは【Your Seed】だろう
当時ソロパートの少ないメンバーの映る回数が少なくなっている一方、山田くんと髙木くんのソロショットが明らかに目立つ

【真夜中のシャドーボーイ】は、10人一斉に逃げてきたわりにメンバー同士ほぼ目を合わさず*2、つかの間の休息をとっている姿がなんとなく不自然に見えてしまう
きっと当時からファンだったら、メイキングでわちゃっとしている彼らも見れただろうし、違和感なく懐かしさでこのMVを見れていたんだろうなとも思う
続く【瞳のスクリーン】ではひとりの敵に対し全員で戦う姿がかっこ良い。かっこ良いのだが。
制作サイドの意図があったのかもしれないけれど、全員同じ武器という設定になんだか泣けてしまった
ドラクエでもFFでも、全員同じタイプのパーティーで行く人ってなかなかいない
それぞれのキャラが持つ特性を生かしたバランスあるパーティーの方が、結果互いの弱点を補えるし楽に敵を倒せるからだ
この時の彼らは、自分の隠れたステータスに気付かず同じ武器で戦っていたのではないだろうかと深読みしてしまう

10年前の彼らはゴツゴツといびつな形のまま、1つの箱に突然入れられた原石みたいだった。才能や能力はあるのに光り方が分からない。
デビュー数年は、そんなもどかしさもあった気がする

ー2016.11.11 TVガイドAlpha EPISODE A インタビュアー宮浦彰子

同じ属性だからこそ、結果10人束になっても謎の男は倒せなかったし、最後の最後に彼らが持ちえない魔法属性によってエースが吹っ飛ばされてしまう
各々腕を磨いているのにその良さが生かされない
10周年を迎え過去を振り返る彼らのインタビューを読んでいると、どこか重なる部分があるように思う

「デビュー3年目かな?一年に一枚もCDをリリースできないときがあって、そのときは『どうなっちゃうんだろう?』って正直不安に思ったこともあった

ー2016.12 ザ テレビジョンCOLORS 薮くん

 

②変革期~そして一つのグループへ

MVに確かな変化が見られたのは、本人たちも転機になったと語る*3【「ありがとう」~世界のどこにいても】こと、通称ありせか
CGで近未来感を出している、集合図は全員違う方向を見ているという点はデビュー曲と共通しているが、ダンスの一体感が全く違う
止めるところはきちっと止めてメリハリがあるし、手の高さもそろっている
歌詞は確かにトンチキ曲だけれど、彼らのきっかけは確かにここにあったし、それが映像として残されたことにThanks 笑
その次の【Over】は曲に入る前の芝居がかーなーり印象的な内容
ドリカムと同じように遊び道具が登場し、ボールをパスするなど若干ではあるが他メンバーとの絡みも生まれた
また、同じ学校という設定からか衣装のテイストも近いものになっていて、ダンスも相まって統一感が増したように感じる

Ultra Music Powerとありせか、Dreams come trueとOverは、登場する要素からなんとなく対比できて、かつ成長しているのがよく分かるので面白い
JUMPがひとつの武器を手にした瞬間である


③拡大期~可愛いからかっこ良いまで、幼さから大人っぽさまで

これ以降、楽曲のテイストが幅広くなったことによりMVの見せ方も様々となった
それまでは、まだ幼さの残る少年があえてかっこ良い曲を歌うというスタイルだったが【Magic Power】では初期のメンバーカラーで歌い演奏する彼らが見られる。衣装もセットもカラフルで可愛らしく、等身大の彼らの笑顔が輝いている
【SUPER DELICATE】で大人になることに対する気持ちの変化を切ない表情で歌いあげていると思ったら、次の【Come On A My House】マジパを軽く超える可愛さを爆発させてくる
カラフルな舞台、カラフルな衣装、女の子が遊びに来ると分かって慌てて掃除するシチュエーション…カメラワークも含めて個人的に好きなMVである
そして第2のデビュー曲とも言える【Ride With Me】、同じくダンスの揃いぐあいが美しい【Aino Arika】、ソロで抜かれる時の表情にますます個性が出てくる【愛すればもっとハッピーライフ】と続く

④成熟期~メンバー同士の自由なやり取り

正直、ここから先も幅広い楽曲に合わせた幅広いかっこ可愛いJUMPが見られるMVが続くのだが、ある曲で特筆すべき変化があるのであえて分けた
その曲こそ、みんなが大好き【ウィークエンダー】である
キャッチーなサウンドにセクシーな表情、イケイケな衣装がとにかく眩しいこの曲
特筆すべきポイントとは、最後の「サビでの全員の自由なフリ」である
カモナや愛ハピもメンバーは自由に動いているのだろうが、そこでは「寝起き」「料理する」などシチュエーションに合わせた動きに限定されている
時期にしてゆとやまの雪解け直前、この時のJUMPは凡そ今と同じような空気だったのではないだろうか
お互いを分かりあって、許しあって、一か所に固まってわいわいして。
だからこそ、アイツらいつも楽しそうだから最後のサビ、そのままやってもらっちゃう?というようなノリが伺える

息の合ったダンスが武器の彼ら
あえてそこを奪う自由な振付に対しもの思うファンも多いし、私自身もモヤッとしてしまう一人だった
だがそうではなかった
自由なフリをお願いされるのはそれなりの条件をクリアして初めて実現するのだ
その次の【明日へのYELL】の大サビでも、自由に動き笑うJUMPが見られる
思えば、揃ったダンスに自由なフリがあることによりメリハリも生まれるのだろう
自由なフリが出来ることはMVの見せ場を広げるということなのだと改めて思う

そして【Chau#】【キミアトラクション】は可愛いJUMP猛烈推しモード
女子ドルかというような可愛い衣装とバックで、キラキラな笑顔を放つ成年男子9人はこの段階でいよいよ天使の領域に達した
この可愛い推しのタイミングでキノコになった伊野尾くんは天に恵まれ過ぎていると思う。笑
次の【真剣SUNSHINE】での伊野尾くんのフィーチャーっぷりが順番に見ていくと本当にわかりやすい!
キミアトに続き9人がぎゅぎゅっと縦一列になったり肩組んだりがもうHey! Say! JUMPの良さ全開である
そして、去年の秋に発売された【Fantastic Time】や【OVER THE TOP】
息の合ったダンスだけではなく、複雑なポジションチェンジもこなす「9人だからこそのフォーメーション」という武器を新たに増やした

正直、MV集を見ても「かわいいー」「おさなーい」と語彙が奪われ癒されて終わりかと思っていた
しかし実際に見てみると、デビューからこれまでのHey! Say! JUMPの身体的、技術的進化の過程がしっかりと表れていて意外と考えさせられてしまった。笑
昔からのファンの方は、他の媒体も使ってこの進化を見守ってきたんだなぁと羨ましい気持ちになるし、いちド新規がこの進化の片鱗をのぞく機会を得たことに感謝しかない


今後の彼らがどんな方向に進んでいくかは分からない
だが

ファンのみんなとJUMPは見えない糸でつながっているんだと思う。
その糸が切れないように、強く深く願いを込めて発信し続けないと(以下略)

2017.8.1 TVガイドAlpha EPISODE G 山田くん


こう語るエースがいる限り不安はない!
だいぶ時間があいてしまったけれどベストアルバム発売おめでとう
11年目以降も、発信したものをきちんと受信していくよ!

 

*1:2014.4 Myojo 裕翔くん10000字インタビュー、2014.8 Myojo 山田くん10000字インタビューなど

*2:大サビ近くで森本くんと岡本くんが目を合わせるくらいではなかろうか

*3:2016.12 ザ テレビジョンCOLORS、2017.3 WiNK UPなど